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2007年 05月 07日
親学と学校教育
教育再生会議が4月25日に,「『親学(おやがく)』に関する緊急提言」の概要をまとめたと報道された。毎日新聞 4月26日の
 教育再生会議:親向けに「親学」提言 母乳、芸術鑑賞など
によると,
◇「親学」提言のポイント
(1)子守歌を聞かせ、母乳で育児
(2)授乳中はテレビをつけない。5歳から子どもにテレビ、ビデオを長時間見せない
(3)早寝早起き朝ごはんの励行
(4)PTAに父親も参加。子どもと対話し教科書にも目を通す
(5)インターネットや携帯電話で有害サイトへの接続を制限する「フィルタリング」の実施
(6)企業は授乳休憩で母親を守る
(7)親子でテレビではなく演劇などの芸術を鑑賞
(8)乳幼児健診などに合わせて自治体が「親学」講座を実施
(9)遊び場確保に道路を一時開放
(10)幼児段階であいさつなど基本の徳目、思春期前までに社会性を持つ徳目を習得させる
(11)思春期からは自尊心が低下しないよう努める
という11項目である。
 すでに各所で批判も出ているし,6日のNHK『日曜討論』でも議題になっていたので,ここでは述べない。

 さて,ここで話題になっているのは「親の責任」である。
  子どもを育てるのは「親の責任」とされたのは,実は明治政府の政策であった
というのを,先週,大学院の授業で知った。
 それまでは,農村共同体の精神的支柱である「じいさん・ばあさん」が
  ・日本国民というアイデンティティが無い
  ・自然と共存
  ・年齢を重視していない
教育を担っていた。しかし,これでは
 ・ナショナリズムを意識させる
 ・「自然を利用する」ことで成り立つ産業新興
 ・生活年齢を重視させ,学校教育を受けさせる
という明治政府の方針には合わない。
 そのため,子育ての責任を負っていた「じいさん・ばあさん」にとっては,自分たちの教育方針と合わない教育をする「学校」には行かせられない(教育を任せられない),ということになる。当然,学校に通わせるという明治政府の方針と衝突することになる。
 実際に,ある県では「学校教育は日本伝統の教育ではない」として「学校一揆」すら発生したそうである。
 そこで,明治政府は『教育の責任者は,直系の親』として,じいさん・ばあさんから離れさせる政策をとった。まず,
 1)子どもの愛育は親の本能
と洋学派が宣伝を試みたが,うまくいかなかった。そのため,国学派は
 2)子どもは祖霊神が授けてくださったものなので,親が愛育するのは義務である
と宣伝したところ,これは国民に受け入れられた。そして,2)が受け入れられていくにしたがって1)の方向に持っていった。
 いまなら,ほぼ全ての人が1)を受け入れるだろう。

 これで,私が言いたいことは分かってもらえるとおもう。
 教育再生会議の提言というのは,言い換えれば,明治政府が地域から教育力を奪ったことを棚にあげて(地域の教育力をもどそう,どころか),今度は親からも教育することを止めさせて,学校ですべて教育しようというのである。典型的な例は「道徳」の教科化である。
 え?「親学は,親の子育て力を高めるための提言じゃないのか?」って?
 いや,その逆を考えればよく分かる。この提言に従った子育てができない親は,親じゃないってことになる。つまり,そういう親を持つ子どもは,学校で育てる,ってことを意味する。

 教育再生会議の提言というのは,これを知ってからますます眉唾物に思えてきた。

by ji3faf | 2007-05-07 01:40 | PTA


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