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2006年 02月 19日
教育の国防国家
ようやっと読み終えました。

 佐藤卓巳著
  言論統制 (中公新書 1759)
  情報官・鈴木庫三と教育の国防国家
  ISBN4-12-101759-5

とても刺激的な本でした。
 「言論統制がなぜ行われたのか」という解説書だと思って買ったのですが、ぜんぜん違う「教育史」みたいな本でした。
 著者も「あとがき」で
目から鱗が落ちる、という表現がある。鈴木庫三の研究は、そうした経験の連続だった。
(420ページ)
と書いています。ほんとにそうだったと思います。膨大な「引用文献(参照文献ではない)」がそれを物語っています。

陸軍で泣く子も黙る言論統制の大親分として出版界を牛耳ったという「うわさ」本当か、というドキュメンタリーといってもいいと思います。
  陸軍と海軍の派閥争い
  都会と田舎
というより、教育がブルジョアの再生産をしているから、教育改革が必要だったり、統制経済をいっていたりするのは、実は社会主義ではないのかな、とおもったり、いろんな意味で

 伝聞記事はあてにならない
 ジャーナリズム自身も自分を守るためには平気でうそをつく

ということがよくわかります。
 たかが、田舎で食えずに軍隊に入って、自動車学校の教官上がりで威張り散らしているだけのへっぽこ軍人の癖になにいってる!そんな陸軍へこびへつらうためのちょうちん記事を書かせるための脅しにのれるか!
 ってところなのでしょうが、遠足にも行けないまずしい小作農の養子だったが、高等教育を受けるため、と苦労して村一番の小作人になり、家督を弟に譲って軍隊に入り、軍隊でも苦労して士官学校に入学。しかし、成績優秀であっても年齢制限で陸軍大学には入学できず、代わりに夜学で日本大学に行き、助手まで兼任し、なんと「東京帝国大学陸軍派遣学生」と陸大の変わりに東大にいっちゃってるわけです。

 そういう経歴をしらずして、みんな「たかが陸軍」とタカをくくってるわけです。どうも「インテリ=海軍」「猪突猛進=陸軍」のステレオタイプのままで言論統制されていると思っていたみたいで、戦後の「うわさ」がそれを助長しているというはなし。

 でも、ご本人は本当に日本の将来を救うためには、戦前の教育システム(金持ちでないと高等教育を受けられない。だから貧乏人は貧乏人のまま)を変えないと、日本の未来はないと信じて婦人教育もいっしょに「情報統制」しているわけです。
 いまでいう、世論操作です。
===

 これ、日本の教育史のひとつとして頭にいれておくべきことがかなりあります。
また、鈴木庫三氏は、最後の仕事として公民館館長を務められたわけですが、
 従来の公民館活動が郷土振興や祖国再建の社会教育に縁遠いことが多かったからである。(略)そのために公民館は歪んだほうへ発達してダンスホールのようになり有閑夫人のための公民館となり、きわめて少数の青年や町の比較的生活の楽な人々の公民館になり下がって了った。 1954-3.5
(402ページ)
いまの私の住んでいる町の中央公民館大ホールの中央にはミラーボールが釣ってあります。ほんとダンスホールだったんだ、と思います。

by ji3faf | 2006-02-19 02:20 | その他


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