2007年 06月 28日
PLCは校内LAN整備の救世主か
6月21日に、New Education Expo(大阪会場)に行ってきました。「地域ネットワークを活用した先進的な授業実践(2008/10/22修正:リンク先が別内容になっているのを発見したので,リンクを外しました)」で大阪市がPLC導入も含めたモデル事業の発表があると聞いたからです。

 とても勉強になりましたが、同時に何か勘違いされておられるのではないと思う点もありました。
セミナーでの質問票に書けませんでしたが、私の感じた疑問などをここに書いておきます。

■平成16~18年度モデル事業の課題:「無線LAN接続の不安定さ」について
 発表では、
  課題
   ・接続障害による先生方の不信
  原因:
   ・LAN構築時のアクセスポイントの設置数
   ・通信できる最小限の数と設定
  改善
   ・メーカー、敷設業者、納入業者の細かな対応
というスライドになっており、
1つのアクセスポイントに20台のPCを接続するという運用があった。
しかし、1台のアクセスポイントには8~9台のパソコンしか接続できず、残りは「インターネットに接続できない」状態になった。
対策としては「接続速度を下げる」設定にした
と説明されていました。「え?接続速度を下げたら接続できる台数が増えるの?」と思ったわけです。そんなことはありえないし。技術的に突っ込んだ話を聞いても、たぶん「業者が速度を下げる設定にしたといった」という回答しかもらえないだろうな、と思ったわけで質問していません。後日、別の会議でI氏にあったときにこの事象について話しあった結果、予想される原因は
「転送速度が固定(最高速度で接続できなければ切断する)」という設定になっていたのではないか
ということに落ち着きました。
#あくまでも予想です。もし、ご存知の方がおられたらお知らせください。
電波が弱いなどの悪条件の場合、低速度でも接続する設定に変更したのではないだろうか、というわけです。というのは、無線LANのアクセスポイント1台で20台程度のパソコンを接続できない理由がないのです。速度がかなり低下してタイムアウトすることは考えられます。でも文字中心のホームページを見るくらいならなんとか使えるはずです。これができないのであれば、
 1)DHCPでリースするIPアドレスが少ない
 2)スループット低下防止のため、アクセスポイントで同時接続台数を制限した
 3)チャンネルの衝突により別のアクセスポイントに接続しようとした
くらいが考えられます。市街地の学校で、マンションなどが近くにあれば、マンションの住民が学校のアクセスポイントと同じチャンネルで暗号化しない設定にしたまま運用している(アクセスポイントに限らず、無線LAN内蔵のパソコンの場合だってありうる)ことも考えられますし。
 実際に私の家では、場所によって隣家のアクセスポイントにつながってしまうというトラブルが発生しました。隣家のアクセスポイントのほうが電波が強いんだもの。当然、隣家のアクセスポイントのチャンネルの変更とWEPキーの設定をさせてもらいにいきましたけど。

■PLCについて
 セミナーでは「PLCは2方式ある」と言っておられましたが、日本では3方式があります。HD-PLC,UPA,Home Plug AVの3規格です。混在すると通信できない場合があることが日経ネットワーク2007年5月号のPLCモデム特集で「実験結果」として述べられています。

■大阪市が利用しているPLC
 企業展示ブースにありました。三菱電機製のPLCモデムBWシリーズ(インターネットマガジンの「CEATEC JAPAN 2006」レポート、(財)日本航路標識協会の電波航法研究会平成18年度第3回研究会のスライドが見つかりました。こっちのほうが詳しく説明されています)だそうです。もともと国内発売していなかったようです。PLC-Jの実験報告のページにはそのように記述されています。
 さすがに業務用は、家庭用とは違って安定した運用が望めます。しかし、最初に述べたとおり、PLCには3規格あり、現在は相互運用できないどころか規格の違うPLCモデムが混在すると通信を妨害します。学校の先生が、市販のPLCモデムを勝手に購入して接続したら、「規格が違っていたために全滅」なんてことが危惧されます。企業では「勝手に増設」なんてことは考えられないでしょうけど、学校という世界は何でもありですから^_^;

■モデル事業でPLCを導入した学校でのトラブル
発表スライドでは
■グループ学習で使うときは、準備に時間がかかるうえ、配線が煩雑になる
■古い校舎でコンセントの数が少ないので、管理作業員さんに1口を2口にしてもらったが、LAN接続できない
■コンピュータの台数が少ないので、校費で購入しようと思うが、安価なモデムを使っていいのか
3番目のことが上で説明した規格の違いを理解せずに「PLCモデムならどれでも一緒」と考える可能性があるということですね。1つめは、有線LANと同じくハブを使って接続するのが面倒だ、ということのようです。
 問題は2点目の「コンセントを交換したら接続できなくなった」ということです。この説明を聞くと、交換したコンセントがトラブルの原因に思えます。しかし、展示ブースにおられた説明員の方の話をきいたら、原因はぜんぜん違ったのです。
 原因は、壁コンセントを2つにしたからではなく、2つめのコンセントに接続した機器だったそうです。接続したのはプロジェクターだったそうですが、そのプロジェクタのインピーダンスが低かったために、PLCの信号がモデムではなく低インピーダンスのプロジェクタに吸い寄せられて、モデムは信号を受信できなくなった、ということだったそうです。
 で、対策は...「プロジェクタをノイズフィルタ付のテーブルタップ経由で接続する」ということだったそうです。要するに高インピーダンスにすればよいということだそうです。
 PLCは「ACアダプタや家電などのノイズ」に邪魔されるよりも、インピーダンスの変化で受ける影響の方が大きいそうです。そのどちらも
PLCモデム以外の装置は、テーブルタップ(特にノイズフィルタ付のテーブルタップ)経由で接続する
ことでかなりトラブルが解決するそうです。これも日経ネットワーク2007年5月号のPLCモデム特集で述べられています。

 さて、PLCモデムの利用が校内LAN整備の救世主になるのでしょうか。
確かに工事期間は劇的に短縮されるでしょう。工事もさほど大掛かりなものにはならないでしょう。しかし、スループットは有線LANには及びません。動画も高圧縮になり、使用するトラフィックも減ってはいますが、バックボーンのスループットが最高で数百Mバイトとはいえダムハブ型では数年後には「遅い」となるのではないでしょうか。
 遅い、といわれるぐらい使用されるかどうかが微妙なのかもしれませんね^_^;
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by ji3faf | 2007-06-28 01:17 | システム管理


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