2006年 08月 06日
CIEC 2006PCカンファレンス
3日から5日まで,立命館大学衣笠キャンパスで開催されました。

 今年のテーマは「自由な学びか,トレーニングか ~教育とIT~」
3日の午前中は講演会。
 講演題目:今日(こんにち)の学びを考える ~徹底反復学習とICT機器~
 講演者 :陰山英男 立命館小学校副校長 立命館大学教授

 100マス計算の陰山先生ですが,講演ではICT活用とか,反復学習とかの話はほとんどなさっていません。それよりも,現在の日本の子どもたちの置かれている現状についての分析の話でした。
 今になって「学力低下」が騒がれて,学力の確保だとかいっているけど,その原点や,分析手法や対処方法が根本的に間違っているのではないかと考えていないのではないか,という話でした。

 一般的には
  ゆとり教育による授業時間の削減が学力低下の原因
   →大学に入学できない子どもができる
   →経済力のある家庭は塾や私学に入学させ学力を保持させようとする
  これらにより,経済格差の拡大と固定化が進み,日本の社会不安が固定化する
と評論されているが,それは分析不測だ,ということです。

■学力低下が言われだしたのは
  「分数ができない大学生」 岡部恒治、戸瀬信之、西村和雄編(1999/06)
  「学力があぶない」 大野 晋,上野 健爾著(2001/01)
の2冊がきっかけだとおっしゃっています。この本の筆頭著者はどちらも「教育学」が専門ではない京大の先生という共通点があり,京大の学生の学力が落ちてきていることで,高等教育の場がおかしくなっているという危機感を表明している点で,そのターニングポイントは「共通1次テスト」だと陰山氏は言っておられます。
 私はどちら読んでないんです_(._.)_ ですから,これは陰山氏の分析なのか,これらの著書の分析なのかは知りません。

 そして,昭和56年から「子どもの生命力の低下」というべき現象が顕著になったと陰山氏は振り返っておられます。そう,「不登校」「校内暴力」です。私もそのころに教育大学を卒業したわけで,「新任教諭は転入式が終わったらすぐにネクタイをはずせ」と指導を受けたと何人かから聞いています。
 先生の結束力も危ういものでした。私が教員になるのを見切りをつけた事件もそのころです。当時公立高校の講師をしていたのですが,私が授業をしている教室から少し離れた教室では休講になった生徒が自習していました。突然大きな音と,生徒の喧騒の声が廊下にこだましたわけです。窓を開けると廊下で消火器を噴射していました。自分のクラスの生徒に職員室に連絡させに行き,廊下の窓を開けさせ,犯人の生徒を教室にいれ,自習しているクラスの廊下の窓やドアを閉めさせ,とりあえず着席させて落ち着かせました。
 しかし,その自習していたクラスの隣の教室で授業していた先生は
   「はい,廊下の窓を閉めて。騒がしいのは気にしないで。授業に集中!」
とかいって私の事態収拾にまったく手を貸してくれないわけです。
 こんな先生が同僚なら,命を預けられないと思ったわけです。当時は,
  ・階段に足を踏み入れる前には上を見る
  ・校舎際を歩かない
  ・職員トイレの窓は開けておく
という先輩の教訓が身を守ることになる時代だったのです。「男子職員トイレで小用していたら,すりガラスの窓からレンガが飛んできて頭にあたって頭蓋骨骨折」なんてことがあったのですから。

 そういう事態に対処するために,生活指導を厳しくしていたわけです。中学や高校では校門でものさしを持った生活指導の先生が立っていることはめずらしくありませんでした。スカートの丈の長さを計るわけです。

 そして,ゆとり教育が始まりました。 そこには対症療法の発想しかありません。

■子どもの生活習慣が変わった
 陰山先生の講演では二つの表と,グラフが中心でした。
 睡眠時間と,「算数」「国語」の学力テストの平均点の表です。広島県の5年生の調査だそうです。調査の時期はメモし忘れました。

 睡眠時間 | 4時間 | 5~6時間 |7~8時間 |9時間以上
 ----------------------------
 平均点数 |50点台 | 60点台  | 70点台  |60点台

小学校5年生で睡眠時間が4時間というのも驚きですが,寝てないと成績があがらないのは脳科学から見て正しいのではないでしょうか?

 もうひとつは,1989年のグラフでしたが,「1日の食事の品目数と成績が比例する」というものです。これも栄養のバランスが成長期の子どもには必須ということですね。
 この当たり前のことができなくなり出していたのが,バブルの始まりの時代であり,子どもにしわ寄せがいき,問題行動,成績低下につながっているのだという話でした。

 ちなみに,東大のホームページで入学生の家庭の年収分布が公開されているそうです。
 検索すると確かにありました。 
   学内広報 No.1302 2003年(第53回)学生生活実態調査の結果
   「第2部 学生生活の背景 1.家庭の状況」の「図14 主たる家計支持者の年収額分布」です。
 http://www.u-tokyo.ac.jp/gen03/kouhou/1302/07.html
 この図を見ると,1995年は実に8割の学生が年収900万以上のレベルの家庭です。しかし近年それ以下の年収の家庭が増加しています。エンジェル係数がどんどん上がったということなんでしょうか?

と,まあそういう講演でした。

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パネル発表では福島高専の布施先生とビデオの収録でおもわず意気投合という感じになりました。 ビデオを活用した補習教材作成ではエンコードと編集に時間がとられるので,撮影前に綿密な打ち合わせをして,つなぎどりによる「編集作業省略」をしているということでした。

 布施先生とは5日の帰りのバスが偶然一緒になって,ずーっと話し込んでしまいました。
  ・携帯電話の教育利用になぜ注目しているのか
  ・PSPやニンテンドーDSの教育利用
  ・H.264やMPEG4,DVD化,教材用ビデオの撮影・編集
など,尽きることなく話してました。

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 で,今日は自分の発表。質問はするどく,本質をついておられたので,本音をはなました。
というわけで,記録上は,「発表内容は,資料集の論文と同じ」ということにさせてください!(^^)!

追記
1点説明不足がありました
 なぜ,京田辺地域プロジェクトで,子どもたちの混乱がほとんどなかったか。
 それは,標準ブラウザが「Netscape Communicator」だからです。IEは補助的にしかつかっていないのです。
 ほとんどの地域では「Web教材が利用できない」などのトラブルがあり,岡山地域プロジェクトでは「Linux対応にした」という報告もありました。しかし,それは「Linux対応」ではなく「IE依存のHTMLを修正した」に他ならないわけです。成果発表会でもその点を指摘しましたが,IEに特化した教材を「Web教材」といってはばからない神経を私は疑います。
 ITフェアでも,「PPTとWebカメラで,簡単にWEB教材が作成できます」という展示をしていた会社がありましたが,そこで「Firefoxで見られますか?」と聞いたら「IEでなければ見えません」と平気でのたまっていただきました!(^^)!
 それはWeb教材ではなく,「WindowsのIE用アプリケーションを簡単に作成できます」なんですよ。

 というわけで,京田辺地域では,NetscapeCommunicatorがFirefoxになっただけなので操作に違和感もすくないし,参照先やイントラで公開しているコンテンツも「これは特殊なコンテンツ」と切り分けて意図的にIEをつかっている風土があるので,先生も指導で混乱しないわけです。
 
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by ji3faf | 2006-08-06 00:53 | 情報教育


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